〜AIファッション続々。柄、モデル画像作成 業界指針など課題〜
ファッション業界で生成 AI(人工知能)の利用が広がってきた。ショーで披露された最先端の服に取り入れられているだけでなく、一般に流通する服作りにも活用が始まっている。ただ、模倣や盗用を防ぐための国や業界の指針などはなく、課題も残る。(梶彩夏)
デザイナーの久保嘉男さん(50)=写真=が生成 AIを活用するのは2シーズン前から。「旬の技術で新しい服を作ったら面白い」と取り入れたが、 AIの提案には必ず手を加えて独創性を出す。24年秋冬向けの作品では「風船」と指示してAIが提案した柄に、久保さんが陰影をつけて膨らんでいるように改良した。「完成像はデザイナーがイメージできている必要がある」と語る。
ファッションに特化した文章・画像生成AIツール「メゾンAI」は、ひな型の画像を選んだり文章で指示を出したりすると、使い手のイメージに沿った柄や模様、 モデル画像などを作成する。開発した企業「オープンファッション」(東京)は24年からコンテストを開催。11月に発表された第2回の入賞作品は、モデルも背景もAIが作った画像ながらリアルさも感じさせる完成度だった。
ショーやコンテストにとどまらない。繊維商社大手「豊島」(名古屋市)が24年1月に発表した自社開発のシステム「バーチャルスタンダード
AIパターン」は、既にアパレル大手で新商品開発に用いられているという。
10種類のひな型から、例えば「花柄」を選んでキーワード「フレッシュ」などを選択すると、1~2秒で約100種類の柄がAIから提案される。
修正も容易だ。同社でデザイン企画を担当する加藤諭さんは「クリエイターが発注元の要望に沿って修正を繰り返す時間を半減でき、質の向上につながった」と話す。
経済産業省によると、ゲームやアニメ、広告といったコンテンツ産業向けに、生成
AIの活用実例や法的な対応策を示したガイドブックを24年に作成したが、ファッションに特化した指針はない。ガイドブックなどを参考に各メーカーやブランドが判断する現状だ。
「生成AIの導入によって、今までにない世界観が生み出される可能性がある一方、人間の創造性が弱まる恐れもある」と、一般社団法人「日本ファッション・ウィーク推進機構」事務局長の古茂田博さんは指摘する。
ファッションデザインの模倣や盗用とその対策は、AI登場以前からの業界の課題だ。「海外の動向も注視しつつ、必要な議論を深めたい」と話す。