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柄生成AI

生地・副資材の仕入れ・卸販売専門サイトで正確な色を再現


繊維総合商社が取り組む、持続可能な社会に向けた取り組みとDX推進

――豊島株式会社様は「ライフスタイル提案商社」として幅広い事業を手掛けるとともに、業界内でもDXへの積極的な取り組みが注目されている企業かと思います。

渡辺 : はい。当社は1841年に創業し、長年繊維の商社として事業を展開してまいりましたが、近年は持続可能で快適なライフスタイルを皆さまにご提案すべく、アパレルにとどまらず、 繊維業界の素材から商品、建材など、幅広く扱っています。特に15年ほど前からオーガニックコットンや再生ポリエステルといったサステナブル素材の普及拡大に取り組み、持続可能な社会の実現を目指して業界を牽引してまいりました。 また、3年前からデジタル技術を積極的に取り入れることで、新しい洋服の楽しみ方の提案や、業界全体のDX推進に力を入れています。たとえば本年度では、AI技術を使ったモデル生成や、骨格診断ツールを展示会会場で披露し、ご好評いただいております。TOPPANさんと出会ったのは、実はブロックチェーンの業界団体※の部会からでした。

※一般社団法人ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブ(JCBI)のこと。両社はJCBIの正会員。 https://www.japan-contents-blockchain-initiative.org/

繊維業界は、商品化のプロセスで何度もサンプルを作る必要がありロスが多いので、生産工程のDXを取引先と一緒に推進中です。今回のカラーマネジメントサービスの導入も、色調の確認工程をデジタル化することで、業界全体のDXを推し進める第一歩となることを期待しています。 また、アパレル企業が単独でファッションDXを推し進めるのは大変なことなので、商社という立場から、関連企業のDXをサポートさせていただく取り組みを積極的に行っています。

渡辺室長

モニター上における正しい色の再現は、様々な業界の課題

――モニター上で適切な色を再現する「CAM-FIT®」「ColorSeeker®」を知ったきっかけをお聞かせください。

宮内 : たまたまTOPPANさんに当社の展示会にお越しいただいたとき、 「印刷物では色の確認に苦労しているのですが、生地を扱う皆さんも同様のご苦労があるのでは?」と言われて、「まさにその通りです」とお答えしたのがきっかけです。 TOPPANさんの新しい技術として、「CAM-FIT®」「ColorSeeker®」をご紹介いただきました。繊維業界における色の確認は、結局は実物を見て行うしか方法がなく、繊維業界が始まった時からまったく進歩していません。 最近のDXの流れの中で、何かしら方法があるのではないかと思っていたところだったので、まず、生地販売のECサイトを担当している湯田に話をつなぎました。

渡辺室長

湯田 :私が担当している「TEXTILE NET」は、BtoB向けの生地・副資材の仕入れ・卸販売専門サイトです。 モール型で、繊維メーカーを中心とした国内の企業に多数参加いただいており、皆さんの販路を国内外に広げることが我々のミッションです。 実際のところ、生地のプロの方々は、サイト上の色で判断せず、購入前にカラー見本を取り寄せる方がほとんどですが、有料になることが多いので、お客さまも費用を払って確認していることになります。 なんとかしてこうしたやりとりをなくしたいと考えていたところでお話をいただき、最初の試みとして、2023年4月開催の「ファッションワールド東京」へのTOPPANさんとのコラボ出展を企画しました。

渡辺 :「ファッションワールド東京」は、繊維・アパレル業界の企業が集まる日本最大のファッション展示会です。 当社では、7つのDX施策を特設のブースで展示しました。モニター上での色の確認の問題は繊維業界のDXにおいて避けて通れない問題であり、解決するにはTOPPANさんのご協力が必要だと感じ、出展の協力をご依頼しました。

湯田 :コラボ出展の展示は、「TEXTILE NET」が「CAM-FIT®」「ColorSeeker®」という新しい技術を用いて色の問題に挑戦していることを皆さんに知っていただくために、その仕組みをお伝えする内容にしました。 業界初の試みとして、ご覧いただいた方々には興味を持っていただけたと感じています。実際、「うちも採用してみたい」とおっしゃっていた生地屋さんもいらっしゃいました。

渡辺 :色の問題は繊維に限らず、当社でも取り扱いのある建築用資材など、様々な素材に関わってきます。当社としては、いち早く色確認のデジタル化にトライしていることを業界内にアピールできて、大変良かったと思っています。また、社内に対しても、こうした事例が各部署の様々なDXに良い影響を及ぼすものと期待しています。

渡辺室長

海外進出、人手不足……カラーマネジメントシステムが解決する様々な課題

――今後、TOPPANのカラーマネジメントシステムに期待することはありますか。

宮内 : 色については、お客さまによってもこだわりの度合いにかなり差があります。 少しのブレも許されないブランドさんに関しては、正しく色を伝えるためにさらに精度を上げる必要があるので、その点を期待しています。 サンプルでのやりとりを一気にゼロにできなくても、色確認のやりとりが、これまで5回だったのが3回、2回と減っていけば、意味があると思います。

湯田 :そうですね。今はまだ、色をデジタルで再現することに懐疑的な人が少なくありませんが、さらに精度が上がり抵抗感なく使える人が増えてくれば、様々なものづくりの現場が変化する可能性が出てくると思います。 また、繊維業界では、生地の質感をいかに伝えるかも大きな問題です。EC販売でも、動画など質感を伝える方法がいくつか出てきていて、我々も取り入れたりしていますが、まだ道半ばです。 そのあたりについても、TOPPANさんの技術に期待しています。

渡辺室長

――色が適切に伝わる技術が進歩することで、どのような可能性が広がるでしょうか。

湯田 :私は生地の一大生産地である浜松支店にいるのですが、生産者の皆さんは、国産生地の海外拡販を強く望まれています。 「TEXTILE NET」は、今年1月から英語、中国語、スペイン語に対応し、海外からもご購入いただけるようになりました。 改良を重ねている段階ですが、色の再現性の精度が上がれば、海外への営業の可能性が大きく広がると思います。

宮内 :最終的に生地の見本帳やサンプルが完全に不要になれば、遠隔地のお客さまにオンライン上の確認だけでOKをいただくことができ、生産工場への指示・確認も同様に行うことで、すぐに量産体制に入れます。 業界全体を大きく変えるきっかけになると期待しています。

湯田 :そうですね。色がデジタルでも正しく伝わるようになれば、人とお金と時間のロスが大幅に削減されます。 これは繊維業界に限らず、あらゆるものづくり業界の人手不足問題の解決につながるのではないでしょうか。

渡辺 :ものづくりの業界では、サンプルや見本帳を作るのにかなりの時間と費用がかかっています。 それらを削減できれば、企業はより販売方法や、クリエイティブな作業に力を注ぐことができるはずです。 当社としても、TOPPANさんをはじめ、様々な技術をお持ちの企業と組んで業界全体のDXを推進し、より創造的で快適な未来の実現に貢献できればと考えています。

渡辺室長

▲左から碇彩音(TOPPAN)、高山慶典(TOPPAN)、湯田章一郎様(豊島株式会社)、  渡辺哲祥様(豊島株式会社)、宮内博章様(豊島株式会社)、大和泰之(TOPPAN)

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