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サステナブルファッションセミナー「メタバース空間でファッション製品を売ってみて気づいたこと~KDDI『バーチャル渋谷』に出店されたパルクローゼットの体験から~」を開催!


豊島株式会社(代表取締役社長:豊島半七、名古屋市中区)は、第4回 サステナブルファッションセミナーとして、 「メタバース空間でファッション製品を売ってみて気づいたこと~KDDI『バーチャル渋谷』に出店されたパルクローゼットの体験から~」を、2023年1月25日(水)に開催しました。

当日は、渋谷区公認の都市連動型メタバース「バーチャル渋谷」を展開するKDDI株式会社の三浦 伊知郎さんとバーチャル渋谷で2週間のファッション展示会を実施した株式会社パルの堀田 覚さんをお招きし、運営者・出店者だからこそ分かる事例をはじめ、将来的なマネタイズへの繋げ方などをお話いただきました。 後半には、3Dアバターとブロックチェーンを展開する株式会社PocketRDの籾倉 宏哉さんをモデレーターに、豊島株式会社で3DCGを活用しファッション業界で様々なコンテンツの展開に取り組むプロジェクト「VIRTUAL STANDARD™(バーチャルスタンダード)」を担当する渡辺 哲祥も加わり、メタバース空間でファッション業界がやるべき取り組みについて、トークセッションを行いました。

■第1部:「バーチャル渋谷」の運営者と出店者が語る「KDDIにおけるメタバース関連取組のご紹介」
「メタバース空間に『パルクローゼット』を出店してみて」
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KDDI株式会社 事業創造本部 革新担当部長
三浦 伊知郎さん

三浦さんは「2019年から渋谷区と最新テクノロジーで課題解決や観光資源創出の取り組みをしていた。しかし、コロナ禍によって、5Gによるリアル拡張の施策ができなくなってしまった。 外出を自粛しているお客様に渋谷らしい体験を届けるべく、リアルの渋谷の街をメタバース空間に作ったものが『バーチャル渋谷』で、2020年5月に国内初となる自治体公認メタバースとして誕生した。 渋谷区における課題の一つに、コロナ禍におけるハロウィンの混雑があった。バーチャル空間に誘導することで、現実空間の密を避けることができた。
 今後、バーチャル空間とリアルな街をコネクトし、新たな体験価値向上につなげることを目指している。その取り組みとして、写実性をもって都市空間をデジタル化した『デジタルツイン渋谷』を2022年11月に発表した。 リアルとバーチャル双方向でのコミュニケーションの実現を予定している」とKDDIの取り組みについて説明しました。

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株式会社パル 執行役員 プロモーション推進部
部長 兼 コミュニケーションデザイン室 室長 兼 WEB事業推進室 室長
堀田 覚さん

堀田さんは、「『パルクローゼット』はパルグループホールディングスの約50ブランドを揃えたECサイトです。半年に一度パルクロウィークを開催しており、2022年秋は、体験の場の一つとして、バーチャル渋谷のハロウィーンフェスに参加しました。 メタバース上ではパルのルームの設置(マネキンを選択することでECサイトへのアクセスやアバターの入手が可能)、バーチャル空間でのライブ、渋谷の街をジャックした広告を実施しました。 バーチャル渋谷の認知度の高さや、ハロウィーンウィークとパルクロウィークのタイミングの一致、信頼感のあるパートナーがいたことが参加の決め手となった」と語りました。 また、参加の目的として「パルクローゼットの認知度向上、集客・売上寄与、組織としての実感・学習があった。今回の参加を通して、特に組織としての実感・学習に一番の効果を感じた。 学習できたこととしては、まず、参画企業にとって3DCGデータの知識不足などによる事前準備の大変さがあった。また、データ容量の限界といった、現状の技術と将来性についての理解も必要だった」と準備にあたっての苦労を振り返りました。
さらに、参加後の学びとして「リアルの商品を購入するよりもアバター獲得といったデジタル資産に対するユーザーの興味が高かった。没入感では聴覚への体験も重要だった。今回はフェスという意味付けがあったが、日常においては必然性もポイントになるだろう」とお話しされました。
■第2部:「ファッション業界とメタバースの今後」
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モデレーターを務めた 株式会社PocketRD 代表取締役 プロデューサー 籾倉 宏哉さん

第2部では、株式会社PocketRD 代表取締役 プロデューサー・籾倉 宏哉さんをモデレーターに迎え、豊島株式会社 執行役員 デザイン企画室 室長 渡辺 哲祥も参加し、今だからこそメタバース空間でファッション業界がやるべき取り組みについて、トークセッションを行いました。
籾倉さんからパルの堀田さんへの「本音を聞きたい」と鋭い問いかけからはじまりました。堀田さんは「事前準備は想像以上だった。 一番大変だったことは、出店者側のやりたいこととメタバースをどうフィットさせるか。技術的なこともわからない中、短期間で進める必要があった」と苦労を語りました。 KDDIの三浦さんは「メタバースにおいてはとにかくやってみることが大事。短い期間でコンセプト作りから3Dデータの作成までご一緒し、一定のアウトプットができた。次の改善に繋げていければ」と成果を述べました。 また、手ごたえについて尋ねられた三浦さんは「ファッションとテクノロジーは距離が離れているという認識。トライアンドエラーで進めているところもある。実験的に参加していただけたのは非常にありがたく、良い経験値となった」と振り返りました。
続いて、籾倉さんは「メタバース空間のターゲットのイメージとリアルのファッションとの距離感はどのくらいあると感じているか?」と質問しました。堀田さんは「ファッションとの距離感はまだ未知数。ただし、『IP(知的財産)のようなわかりやすいものが合うのでは』という仮説に対して実感を得られた」と答えました。 それに対して、籾倉さんが「バーチャル渋谷ではIPと組んでテーマ性を作っている。それを基軸に実施するとファッションでも効果的では?」と尋ねると、三浦さんは「3年間の経験則として、著名人のファンは参加してくれる。マス化されてきた感覚がある」とこれまでの経験から語りました。
さらに、籾倉さんは「業界の将来に、デジタルファッションにおいて、表現の場としてメタバースにどのような役割があるか」について質問。堀田さんは「メタバースという言葉の捉え方によるだろう。 すでにTikTokやInstagramのReels、Youtubeといった静止画から動画へと変化の流れがある。ECでも動画を入れていくフェーズにある。表現の幅が広がる中で、技術進化の先に3Dが出てくる可能性を感じている」とECサイトの現在の潮流から回答をされました。 さらに、メタバース空間での購買層について「ゲームのような体験ができるというよりも、洋服の良さが伝わって購入しやすい、ということに意味があると考えている」と語りました。実際に取り組むにあたっては、「パートナーと視点をあわせて、何ができるかまで理解したうえで、責任者が取り組むことがポイント。 ブランドとしてやりたいことを明確化して、メタバースの事業者側に伝えないとただメタバースをやっただけになってしまう。個人や組織に経験として落とし込む方が重要。現在の取り組みを続けることで、将来的に繋がってくると考えている」と出店経験から得られた考えをお話しされました。
最後に、籾倉さんは「意志をもって進めれば答えが見えてくるということがわかってきたが、前に進めるにあたり、足りないと感じたものは何か?」と質問しました。 堀田さんは「コンテンツを出していく側からすると、メタバースの参加者が増えることを期待している。また、出店者同士はバリューチェーン内でシェアを取り合う関係性になっている。新しいことに取り組む際は、お互いに何が起こるかわからない状況になる。他のブランドやパートナーと本音で話して連携することが肝要だと思っている」と出店者側の心構えを述べました。
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